「秋高馬肥」
澄みきった空に
紅に染まりゆく一葉が彩りを添える
「開炉」の茶会となりました。
令和3年10月30日
皇室ゆかりの 重要文化財 茶室「光華」
東京都庭園美術館 にて
第五回「重文わかる茶会」を開催しました。
陶芸家・茶道家 沼尻宗真
重要文化財 茶室「光華 」で行われる
第五回「重文わかる茶会 」
前日準備を致しました。
秋晴れの清々しい天気の中
沢山のお客様が
芝生でくつろいでいました。
現在は特別展「英国王室が愛した花々 」展開催中
庭園美術館にふさわしい
展覧会は大好評のようです。
洋の庭から、和の庭へと移動します。
少しずつ🍁紅葉も色づき始めています
神無月が終わり、
そして「開炉」
明日の一期一会
楽しみにしております。
「木曽路は全て山の中である。」
島崎藤村先生の小説「夜明け前 」は
こうしてはじまる。
そんな木曽路の黒瀬街道沿いにある
岐阜県加茂郡八百津町八百津は
古くは黒瀬地区と呼ばれ
木曽川の川船が遡る最終拠点として
名古屋↔️木曽一帯の物流を司る
重要な場所でした。
そんな物流拠点には
明治以降、旅館や酒蔵、味噌醤油、
各種商店が街道沿いに建ち並びました。
近年は🇯🇵日本の偉人
「杉原千畝さんの記念館 」のある町として
有名です。
そしてその歴史ある町の中に現在
八百津の「栗きんとん」を
代表する名店の数々が明治期に
生まれました
それでは、
日本🇯🇵の秋を代表するお菓子
岐阜発祥の銘菓「栗きんとん」の奥伝
八百津四天王、永久保存版をお伝えいたします。
品名:栗金糖 1つ 200円
黄色味がつよく、栗の香りも強い
栗の粒が一番粗くしっかり
糖によって湿度が保たれ
栗を食べている感じがしました。
シンプルに栗本来の味と甘味が特長。
◼️素材と成分
栗と砂糖のみ
塩やトレハロースの表示はありません。
栗は八百津産のみ使用。
手作業で皮を向いているため
渋皮が混入しません。
一切添加物を使用していません。
*八百津観光協会サイトより
品名:栗金とん 1つ200円
黄色味が薄く、栗の粒は小粒
栗の香りは弱め
味は落雁的な粉感かつしっとり
昔懐かしい、麦菓子のような食感と味も特長
◼️素材と成分
栗、砂糖、塩
栗は地元の栗み使用。(企業サイトより)
品名:栗きんとん 1つ200円
黄色味が一番濃い。
栗の粒はほとんどありません。
モンブランを食べているような
スムージーな洋の食感と味
甘味も一番強いのが特長です
カフェスペースでは
モンブランも大人気です。
栗金飩 :1つ200円
黄色身は自然の色、栗の香りも一番強い。
栗の粒も粗くあり、しっとりした食感と甘味
全てが栗そのものでした。
◼️素材と成分
栗、砂糖、塩、トレハロース
栗は岐阜県産のみ使用。
一つ77キロカロリーも、
初めて知りました。
梅屋、亀喜、藤乃屋、緑屋
梅屋、亀喜、藤乃屋、緑屋
そこで、個人的な主観により
ランキングいたしましので、
各お店の栗きんとんをぜひ食べ比べて
ご参考にしてみてください。
●甘みランキング
1.藤乃屋
2.亀喜
3.梅屋
4.緑屋
●栗っぼさランキング
1.緑屋(甘さと渋み両立)
2.梅屋(上品な甘さの極み)
3.藤乃屋
4.亀喜
●1つの重さランキング
1.緑屋 28.4g
2.梅屋 25.4g
3.亀喜24.2g
4.藤乃屋23.3g
●茶巾絞りの形ランキング
1.緑屋
2.亀喜
3.藤乃屋
4.梅屋
●栗粒々ランキング
1.梅屋
2.亀喜
3.緑屋
4.藤乃屋
●しっとりランキング
1.藤乃屋
2.緑屋
3.梅屋
4.亀喜
以上です。(文中敬省略にて)
ぜひ岐阜県東濃の旅の際には
「栗きんとん 」巡りや
「美濃焼 」巡りをお楽しみください。
桃山茶陶の聖地
岐阜県多治見市にある
とうしん美濃陶芸美術館 にて
「MINO茶碗100展」が
2021.9.15〜12.26迄開催されます。
平成10年代(2000年前後)以降、
多くの若手作家が
新しいスタイルの器表現をめざしてきた。
その「新しい器」の先に改めて
🇯🇵日本文化の粋とも言うべき茶碗を発見した。
〜中略〜
その中心の一角を担ってきた現代美濃茶碗を
楽しんでいただければ幸いである。
館長の金子先生と茶道の侘体感ワークショップ
茨城県陶芸美術館/板谷波山工房にて
人間国宝の鈴木藏先生、加藤孝造先生はじめ、
七代加藤幸兵衛先生から新鋭作家まで
美濃を代表する方々の茶碗が展示されます。
今回の展覧会にあわせて
制作した拙作の茶垸「幻映」も出品して
おりますので、御高覧いただければ幸いです。
また深まる秋に
茶碗の聖地「美濃」にお越しの際には
ぜひ下記の茶の湯ゆかりの地も
オススメいたします。
(文中 順不同、敬称略)
白州正子さんの小説にも出てくる
白州さんが荒川豊蔵先生の元に
通った五斗蒔街道を走ります。
日本一有名な窯跡です。
⚫土岐市美濃焼伝統産業会館と陶芸村
私も修行させていただいた
大嶋先生の子の日窯もあります。
桃山陶を復興された荒川豊蔵先生の作陶の
状況と、魯山人さんとのエピソードが
有名です。
人間国宝の作品から現代作家の作品を
見る事ができます。
荒川豊蔵先生の作品や現代作家の作品展示
私の美濃陶芸 庄六賞 茶碗展大賞の茶碗も
こちらに所蔵されています。
こちらの茶室では、人間国宝の茶碗で
一服いただけます!
人間国宝の作品から現代作家の作品を
見る事ができます。
まだまだ 沢山の窯元やギャラリーも
ありますので、お調べください。
コロナ禍でもありますので、
予め電話予約されるとスムーズです。
清風帷簾を動かし
風鈴の音に日本の夏を感じる
令和3年7月31日
東京都庭園美術館
重要文化財 茶室「光華」にて
開催いたしました。
またこの茶会は
庭園美術館で現在開催中の
hommageから
あくまでガラスにこだわり
庭園美術館の依頼により
ガラス作家 青木美歌さんが作られた
花入、茶器、水指を用いた特別な茶会
となりました。
おもてなしの道具を生かす為の、
「取り合わせ、花や室礼 」そして
「点前や菓子 」
茶の湯はまさに🇯🇵日本美の総合芸術
与えられたテーマを
美しく茶の湯の伝統の中に落とし込み
クリアするのは本当に難しい事ですが、
と同時にワクワクします。
私達はラリックなど
美しいガラス作品の中に
なぜ静けさを感じるのでしょうか?
「永遠に包まれる美の時」
そんなイメージを展開しました。
床は佐渡島で僧侶・写真家として
活動されている梶井照陰さんの「NAMI」
青木さんの花入に
ユラユラと撫子が舞います
茶器:青木さん作
主茶碗は見立で
ラリックが1924年にデザインした
COQUILLES -コキール/貝殻
.
ラリックが好んで用いた
オパルセントガラスは、
乳白色に優しい光を発しています。
.
オリンピックを記念して作った「TOKYO2020碗」
菓子は主催者である
庭園美術館 学芸員の板谷さんから
ぜひ錦玉でというご依頼を受け、
神楽坂梅花亭 のご主人井上さんと
何度も試行錯誤を繰り返し
そこへたどり着きました。
ラリックのモチーフである
アネモネの華を庭園美術館のイメージで
瑞々しく包み込む事ができました。
銘「Haute couture」
主催者の庭園美術館 学芸員 板谷さんから
ラリックに縁ある美術館として
ガラスの茶会を開催できたこと。
そして何よりも展示ではなく
実際にラリックの茶碗と
青木美歌さんの新旧作家の作品を
茶会で用い、手にとり体感してもらう事は
まさに美術館に相応しい茶会の姿ではないかと
お話をいただきました。
Ce qui est créé par l’esprit est plus vivant que la matière.
精神によって創られたものは、
物質以上に瑞々しい。
Charles Baudelaire
東京オリンピック2020では
🇯🇵日本選手の皆さんの大活躍に
毎日感動をいただいています。
そんな熱い暑い東京で
明日7/31東京都庭園美術館
重要文化財茶室「光華」で
昨年度の企画展「生命の庭」の
出品作家であった青木美歌さんが、
庭園美術館の依頼により
「光華」のために制作した
ガラスの茶道具を使った特別な茶会です。
ちょうど現在は展覧会
ラリックの作品からも
そんな佇まいを感じる事ができます。
光を包み込む
ガラスの透明感はそれだけで
静かな美しさを感じます。
しかし、
茶の湯は「空」ではありません。
作品は道具として生き
人と人との感性の橋渡し役を担います。
だからそれは
単なる一つの道具ではなく
また
道具を個に並べるものでもなく
「道具組」「取り合わせ」が
役を生きる上で
重要なのだと思っています。
明日は「賓主互換」から生まれる
心の化学反応が楽しみです。
*賓主互換:時には主となり、
時には客となり、光ともなり影ともなる。
相手のことを思いやる慈しみの心や
譲り合いの気持ちも、
わたしがあなたであなたがわたし、
その心から湧き起こる。
「雨過天青」
雨上がりのしっとりと水気を含んだ翠によって
茶室は瑞々しい気に包まれました。
令和3年6月26日
皇室ゆかりの 重要文化財 茶室「光華」
東京都庭園美術館 にて
第四回「重文わかる茶会」を開催しました。
・マスクは撮影時のみ一瞬外しました。
卯の花が
白から紅に染まる皐月
館長の岩井利美先生より
今後再開が予定されている
茶室での呈茶を、
さらに安全に美しく向上する為に
研修をとご依頼を賜り
「第一回 学芸員研修会」に
茶道講師としてお招きいただきました。
館長の岩井先生、美術館スタッフの皆様、
休館日にご協力をいただきまして
誠にありがとうございました。
歴史と伝統ある
私も多治見工業の専攻科時代から
學んでいる美術館であり、
また美濃陶芸 庄六賞 茶盌展にて
庄六賞を賜りました「白月盌」を
収蔵いただいている縁ある美術館です。
〈 陶芸 + 茶道 〉
陶芸だけでなく、
京都 裏千家学園 で修養した茶道で、
桃山茶陶のふるさと多治見に
貢献させていただける事は
本当に光栄です。
1.わび茶の歴史、抹茶の製法を學ぶ
・栄西禅師〜利休居士までの流れ
・抹茶の覆下栽培〜効能など
2.呈茶を學ぶ
・茶を安全に、美味しく点てる為の準備と実践
・呈茶の実践や片付け方など
・岩井先生は自作の茶盌で美しいお茶が点ちました
◼️茶席体験
・客としての菓子や茶のいただき方
・道具拝見の仕方
・季節の室礼
本格的な茶室で
人間国宝をはじめ数多くの作家の中から
好みの茶盌で一服いただく事ができる
美濃焼ミュージアムの呈茶席は
とても人気があります。
私もみどり会留学生 や
国内外のお客様をお連れして
何度も利用しています。
岐阜 現在の美濃地方出身の
古田織部公にちなみ
鉄風炉に寸松庵瓦
茶盌は呈茶にも用いられている
加藤卓男先生のラスター盌
棗は春慶の河童
隠居所として大徳寺龍光院に
寸松庵を建立した
佐久間真勝(名古屋城築城奉行も務めた)は
あえて織部焼を用いて
師の古田織部公を偲んでいたように感じます。
その瓦を表千家七代如心斎宗匠が
下賜された後、地元の織部焼が
今も脈々と茶道の世界に息づいていることを
学芸員の皆様にご紹介する事ができました。
・多治見の和菓子屋さんにて
床には 地元多治見出身の
日本画家 林雲鳳さんの太田道灌の軸 が
掛かっておりましたので、
合わせて花を入れました。
利久梅、黄菖蒲、千萱
漆桶
「茶碗の産地で一服」
多治見市美濃焼ミュージアムに
ぜひお立ち寄りいただけたら幸いです。
・美濃焼ミュージアム手作りのピンバッジ
(文中敬称略)
雪柳(ゆきやなぎ) 京都鴨川にて 4/10
肩衝茶入 銘 雪柳 瀬戸
日本・桃山〜江戸時代 17世紀
雪柳手と呼ばれる茶入の本となる作品。
胴全体に黄釉が幾筋も流れ、
その景色を春の柳に積る雪にたとえ
かつらぎや はるのみさとの ふる柳
よそめはおつる 滝の白糸
小堀遠州さんが歌を引き
「雪柳」の銘がつけられました。
◼️京菓子「花の宴」
御菓子司 聚洸さん
「小田巻」という、餡や練切を
細い糸状にする技法で都の春を表現しています。
本格的な春がもうすぐ
桜のシーズンが待ち遠しいですね。
近いうちに「桜」も取り上げてみたいです。
榊(さかき) 6/30 香取神宮
綿(わた) アオイ科 9/5撮影 東京
「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という意味で
水辺に育ち、仙人のように寿命が長く
清らかなという意味から
名付けられたとされています。
また前回紹介したように
「雪中四友 」として古代中国から
尊ばれてきた花です。
このような背景から
日本では吉祥の花として
茶席でみかけますが、
実は意外な事実ばかりです。
◼️万葉期、日本に水仙は無かった!
数多くの花を詠んでいる万葉集や
勅撰和歌集に残念ながら
「水仙」の歌はありません。
まず、私は「水仙」の原産地に驚きました。
日本水仙などの名前はありますが、
原産地は主にスペイン、ポルトガルから
北アフリカまでの地中海沿岸地域から
アジア中部です。
鍾馗水仙(しょうきすいせん)
とくにこの水仙は彼岸花に似ていますね。
水仙はなんと、ヒガンバナ科なのです。
日本の植物学を代表する
牧野富太郎先生はヒガンバナ科の水仙を
「海流漂着説 」だと推測されています。
また他には、室町時代以前に
中国を経由して日本に入ったと
考えられています。
現在「水仙」を町の花にしている場所は
ほとんどが沿岸地なので
牧野先生説はやはり説得力があります。
このように「水仙」は比較的新しい花であり、
「紫陽花 」同様日本において
「水仙」の美意識が確立されたのは
江戸時代の頃からとなります。
ゆえに「椿」の背景から考えれば
明らかに真の花入に
「椿」は相応しい と思いますが、
「水仙」を、真の花入に相応しい花として、
私にはその背景が全く見いだせませんでした。
◼️水仙こそ、和漢のさかいをまぎらかす花
室町時代の茶人と伝わる
村田珠光さんは「わび茶の祖」
といわれています。
珠光さんの記した「心の文」には
「和漢のさかいをまぎらかす」という
言葉があります。
それまでの唐物中心の茶の湯の道具に対して、
和物(国産品)をどのように唐物と調和させて
新しい美をつくるかというところに
珠光さんの関心があったことが伺えます。
それはこの「水仙」こそ
相応しい茶花だろうと私は思います。
では「水仙」に
和ものの花入を合わせたら
理には叶いますが、
あえて花と花入を一体と見れば
全体を洋にまとめて
あえて「水仙」だからこそ
原産地 地中海の雰囲気のある花入を用いて
茶室に室礼してみるというのも面白いと思います。
どうしても「日本水仙」という名前や
「水仙」は古代中国から伝わってきたという
第一階層のイメージばかりに
ひかれていますが、
下のような水仙の原種である地中海の
ペチコート水仙をイメージできれば
洋風な花である事は一目瞭然だと思います。
水仙の原種 ペチコート水仙
◼️和菓子では葛製を水仙という
「水仙」とは、和菓子では
「葛製」を表す言葉として用いられています。
製は? 水仙です。の方が粋ですな
家庭画報 川端道喜 左 水仙粽、羊羹粽