湯河原にある元内閣総理大臣
細川護煕さんの工房を
訪ねました。
細川さんが陶芸家でもあることは
世間ではすでに有名ですね。
茶碗も何度か茶席で見かけた方も
多いと思います。
京都の茶道資料館にもありました。
湯河原の街に入って奥に進んだ小高い場所に
細川さんの自宅兼工房はありました。
不東庵の門
ここは元々祖父母の近衛文麿氏、千代子氏が
戦中に疎開していた家とお聞きしました。
母屋はすでに100年近く経っているそうです。
母屋以外の轆轤場も窯場も茶室も
全部友人やボランティアの方々の
手作り。
茶室の設計は藤森照信さん。
躙り口って、何か意味無く楽しいですよね。
天窓から猿も覗くらしいです。
炉壇は細川さんの手作りの焼物で
大きさが合わなかったので、
一度割って鎹を打ったのが
逆に良くなったとの事。
堅苦しいお茶が苦手だから、
自己流のようです。
意外にも細川さんが理事長をしている
細川家の家宝が保管される永青文庫の
品については、
元々古いものにあまり興味が無くて
やきものをやるようになってから、
少し参考にしたぐらいですよ。
と話してくれました。
轆轤場と窯場は分かれていて
轆轤場は自然光が入ってとても明るい。
驚くのは、腰に悪いから茶碗ぐらいだったら
立ち轆轤で作るって!
すごい発想。
釜場には施釉後の器や、原料、窯3機がある。
井戸、粉引、唐津、最近は楽焼も焼いていて
春は日本橋・壺中居、秋は京都・柳で
年二回の個展を定例にしているとの事。
他に書や日本画の活動もしているそうで
今は奈良・薬師寺から依頼された大作の
絵画制作で大変忙しいそうだ。
陶芸作品を見てみて、細川さんの作る茶碗は
還暦過ぎから作陶をはじめた方の
作品とは思えない、洗練された茶碗でした。
書斎には沢山の書籍の一部がある。
細川ガラシャの本もあって、
細川さんが細川家の歴史書を
読んでるのが不思議な感じがしました。
また桃山ぐらいの石仏かと思えば、
それもまた細川さんの陶仏だと言う。
石仏だと何百年も経たないと
苔むさないでしょ。
でも陶仏だったら数年でこんな雰囲気に
なるんですよ。
みんな持ってちゃうから、
これしか残ってなくて。
茶碗も書も絵も本当に
核心に迫る物を作ることが
好きなんだと思いました。
その為なら、人や文献
ありとあらゆる努力を
惜しまない、それが細川流。
陶芸、書、絵画
いずれも洗練された
作品の結果につながって
いるのだろうと思いました。
また細川さんの印象は、自然体でかつ
細やかな気配りされる
とても優しい方でした。
いつでも遊びにきて下さい!
自由にお茶室も使っていいですよ。
そっ、それはちょっと…
最後に陶芸について?質問したところ
茶碗、水指等など、作にあった土を
使う事が大事ですね、
とアドバイスを頂く事ができました。
◆細川護煕個展
平成28年5月31日〜6月4日まで
10:00〜18:00
日本橋 ギャラリー 居中壺
沼尻真一
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