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鉄砲塚清四郎の草苺ジャムと益子パネムPANEMのパンを訪ねて − 沼尻真一



八巻さんの紹介で以前、
八巻さんが編集長をしていた頃、
雑誌「四季の味」でも取材した事のある
イタリア人のパン職人パオロさんの店と
草苺を育てジャムを作っている、
鉄砲塚さんを一緒に訪ねさせて頂きました。


□鉄砲塚清四郎の草苺ジャムを訪ねて

鉄砲塚さんは、茨城県特産の栗を使った
商品を考える中、料理研究家の辰巳芳子さんとの
出会いから、草イチゴのジャムを知り
その苗を分けていただいたのをきっかけに、
もう20年以上も草苺のジャムを作り続けている方でした。

ちょうどこの日は、久しぶりの強い雨でしたが
鉄砲塚さんのお宅では
壁掛け時計の振り子の音だけが聞こえるなか、
話を伺うことができました。

草苺ジャム誕生の話を聞いているうちに
僕はいつの間にか鉄砲塚さん自身の生き方に
興味を持ちました。
もちろんヨーロッパのマイスターのような風貌や
品のある話かたからも感じたのですが、

それは、あきらかに「舌」です。

草苺、栗、ブルーベリー、林檎紅玉など
鉄砲塚さんの手作りジャムを食べさせてもらいながら、
どうして、この味を求めることができたのだろうか?
という疑問からでした。



これまでも、鉄砲塚さんのような年代の茨城県の先輩と
会ったことは何度もあるのですが、この舌の感覚は
特別だと思い話を伺ったところ、

戦前から造船技師をされていたお父様の関係で
長く神戸や芦屋に住んでいた事があり、外国人家族との
交流の中で、料理を学んだ母が
朝食はよく紅茶と焼きたてのパンとジャムを
作ってくれたと、言われました。

きっと幼少の頃から、外国の文化や食に身近に
触れていたことが、この「舌」を作られたのだろうと
思いました。

舌のIQは極論かもしれませんが、
鉄砲塚さんの品格を見るとき、幼少期にいかに
本物の味を体験させることが、重要なのか
その思想や思考に影響するのだろうと
考えさせられました。

匂いや、味 という物は、若年時に経験をすると
恐らくはそれが基準となって、だいぶそれとは離れてはいても
すぐにその感性をとりもどせるものだろうと感じます。

※鉄砲塚さんのお宅で、7、8人は座れるかと思うぐらいの
 ちゃぶ台は、戦後造船の仕事が無くなってしまった時に、
 造船所の技術者が船作りの経験を生かして作ったちゃぶ台が
 ありました。それはやはり今まで見たことのないちゃぶ台でした。


■益子パネムPANEMのパンを訪ねて 

イタリア人のパオロさんは、横浜で開業されているときから
石蔵をさがし、昨年から益子の大谷石の蔵と薪窯で
パネムのパンを焼かれています。

薪窯で焼かれたイタリアの伝統的なパンは
とても大きなパンで、外の皮は窯の味がして
中はいつまでもシットリしています。

今までも、醤油など醸造系の蔵も訪ねさせて頂いてきた中で、
思っているのですが、ものをつくる環境というものは
それほど大切で、とくに食品などはたくさんの車が
通る沿道でも酵母はできますが、
田んぼと森に囲まれた場所にある
石蔵づくりのパン屋さんは、酵母のためにも
理想的な環境であると感じることができます。



お金をかけてファッションとして、場をつくっている事は
誰が見てもすぐにそれが不自然と感じてしまう事が
ありますので、結局は中身が伴っていないという事なのでしょうが、
どちらかと言えば、中身が逞しくて少し窮屈そうだなという
ぐらいがバランスとしてはちょうど良いのかもしれません。

鉄砲塚さんとパオロさんを訪ねさせていただきましたが、
自信があるものは、雄弁にテーマパークにしなくても
目的とするもののために最低限の場を整えてあげるだけで
十分、以前数奇屋は隙屋で話したように
逆にそこに人は何かを感じる場所が与えてもらえる
のではないでしょうか。











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