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萩焼・三輪壽雪・三輪休雪「破格の創造」/沼尻真一



三輪休雪先生

エロス(愛)とタナトス(死)をテーマに創作する。

フロイト、ギリシア神話をモティーフに
生と死の衝動は一体であるというフロイトの言葉

人間シリーズは若いときの心境
未知なる女性への憧れ

龍神伝説の女性はフィクションであり、
イマジネイション。

卑弥呼シリーズでは、日本人として一番ぴったり来る女性。
本の形は文化の象徴であり、栄華と崩壊そして
女性の恥部は新たな生命誕生を予感暗示させる。

龍神伝説は2004年から10年 17シーンあり、
龍神が自分である。

生を受け、愛を知り、愛欲との葛藤そして反乱を起こし
最後は仏に救いの手を求める

中国から空海の持ち帰った五鈷杵が本来の武器から
自分の身を守るものとして、
すなわち愛欲と戒律です。

花園という作品はドラクロワの作品に影響をされました。

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父が一番してくれた事は、一言も作品に対して
何も言わなかったことです。


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三輪壽雪先生から学んだことは? 

父からは、作品に向かう姿勢を学んだだけで
何も教わりませんでした。

私は昔のものをなぞるのは嫌です。

すでに価値が定まっているものには興味がない。
その当時に最高のものはもうできているんですから、
新しいものを作ったほうがいいんです。

お茶も大いに現代を楽しむ茶をやるべきです。
私の花活けなんかを使えば、官能の茶になりますよ。

能や歌舞伎は「伝承芸術」ですから、親から子へ
手ほどきが必要なんです。

しかし、やきものは「創作芸術」ですから、
過去の伝統と同じものではなく、その当時の
もっとも革新的なものが伝統なのですから、
現在の時代のもっとも革新的なものが、
伝統になるはずです。

質問:では楽家などは、同じものを作っているように
見えますが、どのように考えればよいでしょうか?

一見して同じように見えるかもしれませんが、
創意工夫をされていると思います。

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最後に私から皆さんへお伝えしたいことは


1、人間というものは人生の中に様々な逆境が生まれますが、
逆境でも潰されないように、人間一心不乱にやることです。
人間がうちこむ姿が一番尊いし美しいのです。
とにかく命がけでやることです。


2、世界の中心は外にあるのではなく、自分の心の中に
  あるということです。心の持ちようで変わることができます。
    
    ※萩市内の事も良く分かりません。

3、芸術家は自家発電して、ものをつくれる体制を整えるべきです。


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茶碗の世界では一楽二萩三唐津などと云われ、
それが正論のようになっているが、

「能や歌舞伎が伝承芸術に対して、やきものが創作芸術であり
過去の伝統と同じものではなく、当時もっとも革新的な
ものが伝統なのであるから、現代もっとも革新的なものが
伝統になる。」

という言葉が、やはり日本のやきものには
2つの美がパラレルしていると思う。

1、日本という国が定めた日本伝統工芸の美と価値
2、各流派の宗家が決めた美あるいはゾーンの価値

このどちらが良い悪いではなく、どちらにも接点があり
そこはスパイラルになっている。

この1,2が大きく違う点は、未来へ目指すべき美の価値が
違うことは明らかである。

1,2は本来ひとつだった時代が日本にはある。
それが、分かれ美と価値も分かれた。

茶を嗜む人も、陶磁器を趣味に持つ数奇者も、
求める際にこの作家がどのゾーンのどの美の価値なのかを
知ることが難しい、どれが良くて、どれが悪いのか
まったく分からない時代になっている。

1、は主にギャラリーやデパートが扱う
2、は主に茶道具屋が扱う

ここが日本乱世の醍醐味となるだろう。


沼尻真一